親父が持ってる呼び鈴 |
フィリピン介護生活の我が家の象徴です。
親父がいつも持っていて、フィリピン人の介護スタッフに用がある時に、鳴らします。母の起床、トイレ、ソファに座るとき、車椅子に移動するとき、着替えをする時、飲み物をこぼした時、何かを持ってきて欲しいとき、、、、、、。一日15回は、鳴らされます。
鈴が鳴る度、何をしていても、それをさて置いて、フィリピン人介護スタッフが、両親のもとにかけつけます。
鈴を鳴らせば、人が駆けつけるなんて身分は、昔の英国貴族が召使を呼ぶ時のイメージしかありません(笑)。いい身分ですな(笑)。はっきり言いまして、鈴を鳴らされて、駆けつけなければならないなんて、プライドが傷つく状況です。でも、フィリピン人のスタッフは嫌な顔ひとつしません。それが仕事だからと言えばそれまでですが、よくやってくれると思います。それも、せっかちな親父が、『来るのが遅い!』なんていって、2回3回と大きな音で鈴を鳴らすこともしばしば。私なぞは、親父に対して、『何を威張っとんねん!』と思いますが、フィリピン人スタッフは、『YES!YES!』といって、駆けつけてくれます。
呼び鈴の用事の大半は、母のトイレ。
母の身体的状況からすると、大人用のオムツに世話にならなければならない状況です。しかし、親父が母を可哀想がって、毎回毎回抱き起して、オマルに座らせることを譲りません。 私自身も、濡れたオムツをしているのは気持ち悪いと思いますので、この事には賛同しました。
親父は母を抱き起すことすら出来ませんから、結局フィリピン人介護スタッフが、母を抱き起し、オマルに座らせて、傍らで用が済むのを待ち、また抱き起して衣服を整え、ベッドもしくは車椅子に戻す、という重労働になります。
毎日大活躍のオマル。フィリピンで買いました。 |
小柄な女性では少ししんどい仕事です。かと言って、男でこんな仕事をする人はなかなか居ませんので、結局、出来るだけ体格のいい女性ということになります。この意味で、フィリピンに多いバクラ(おかま)は、この仕事に最適なのです。心は女性のやさしさ、体は男の強さ。完璧です(笑)。 今は、おばさんスタッフです。
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思い出します。京都の団地の一室。親父と母の2人。当たり前です、鈴を鳴らしてもだれも来ません(笑)。今のフィリピンの家のように通気性がよくないです。寒い寒い冬。母はほとんどベッドに寝たきり。おしっこをたれる。ウンコをたれる。日本の部屋の床は畳み。染み込んだ臭いはなかなか取れません。フィリピンの家は石の床。モップで拭けば終わり。雪の降っているベランダに、濡れ物を干してもなかなか乾きません。ここの家では、南国の直射日光にあてればあっというまにパサパサ。思い出します。私が団地のドアを開けたとき、小便に臭いがしたことを。
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そんな境遇が、ここでは鈴を鳴らせば人が走って来てくれるのです。彼らの収入が増えて人を雇ったわけではありません。住む場所を、ここフィリピンに変えただけです。
本人の承諾を得てますから、紹介したいと思います。マリビックおばちゃんです。
我が家の介護スタッフ マリビックおばちゃん |
このマリビック、我が家へ来て半年になりますが、本当によくやってくれます。年の功か、よく気がつきます。自分の判断で物事ができます。日本語を一生懸命勉強して、母と意思疎通をしようとします。母の介護補助は一手に引き受け、家事も若い田舎から出てきた姉ちゃんを使って切り盛りしてくれます。そして、愛子の子守も。これほど適任のスタッフはなかなか見つかりません。彼女自身は5人の子供と飲んだ暮れ亭主を抱えて、大変な境遇のようです。でも、そのせいか、肝っ玉がすわってます。少々の親父のイビリには動じません(笑)。私が何よりマリビックを気に入っているのは、時間に正確なこと。たまの休みに家に帰っても、きっちり時間通り戻ってきます。これはフィリピン人では、極めて珍しい(笑)。
日本で介護に困っている老夫婦。鈴を鳴らせば人が飛んできてくれる境遇の人はどれほど居るでしょうか。
施設に入っていても、1対1の介護など望むべくもありません。それが、ここでは1対1どころか、1対2、3 なのです。低額年金者といってもいい位の、私の両親。フィリピンに来た、ただそれだけで、こうなっているのです。文句を言ってたらバチがあたる、、、と私は思います。
大人のおむつ 中国製ですが結構すぐれもの |
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